年金受給者の確定申告 申告不要?給与所得は?控除できる?

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年金を受け取る年令になると、確定申告とかはあまり関係ない気がしてしまいます。
べつに自営業でもないし申告することもないんじゃないか・・・と考えがちですね。

でももしかすると確定申告をしたほうが良いかもしれませんよ。
年金受給者でも確定申告が必要になるケースがあるってご存知ですか?

年金受給者は確定申告不要なの?
年金受給者の確定申告で給与所得がある場合は?
年金受給者が確定申告できる控除は?

と言った疑問にお答えします。

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年金受給者は確定申告不要なの?

年金受給者の方も確定申告が必要になるケース、不要なケースがあります。

以前は年金受給者は確定申告が必要な人が多かったのですが、
2012年度より「年金所得者の確定申告不要制度」が設けられました。

以下の条件を満たす方は確定申告をしなくてもいいという制度です。

年金の年間収入額が400万円以下であり、その他の所得金額が年20万円以下であること

その他の所得金額とは年金以外の所得のことで
給与所得や不動産所得、一時所得がそれにあたります。

自営業の方はもちろん家賃収入や株などの収入も課税対象になります。
簡単に言えば副収入があるかないかです。

年金額が400万以下でも
副収入の所得金額が20万を超えていれば確定申告が必要になります。

金額がわからなくても源泉徴収票を確認すればすぐにわかります。
年金の源泉徴収票に記載されている支払金額のところをみて合計金額が400万以下かどうかを確認しましょう。
さらに所得金額が20万以下の場合は確定申告は不要になります。

「収入」と「所得」の違い

収入とは給与や年金などで得られる金額であり、
この収入金額から控除などを差し引いた金額を所得金額と言います。

収入-控除金額 = 所得 になります。

確定申告ではこの所得金額に基づいて納税額が計算されます。

源泉徴収税額を確認すれば申告が必要なのかどうかすぐに分かるので
わずらわしい計算をしなくても済みますね。

ただし、他に個別に控除申告したいものがある場合は確定申告が必要です。
こちらの控除については後述します。

確定申告は必要書類を集めたり、慣れない税務署に足を運び、たくさんの項目に記入しなければならないなど負担のかかる大変な作業です。

以前は税務署に高齢者の姿がとても多かったのですが、
この制度により確定申告が不要になる年金受給者が増えたのではないかと思います。

申告が必要かどうかわからない時は税務署で職員に尋ねるか、無料の税務相談をやっているところで相談してください。
確定申告が必要ならば何を揃えればいいのかも細かく訪ねましょう。

対話に自信のない方は必要事項をメモする、あるいはご家族に付き添ってもらい話を聞いてもらうなどしましょう。
電話で相談するのもいいでしょう。

ご自分の所得がこの「確定申告不要制度」の条件に当てはまらない場合は必ず確定申告を行ってください。

期間内に申告しなかった場合は本来支払うべき税金額にさらに上乗せされた額を請求されることもありますので、正しい申告をしておきましょう。

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年金受給者の確定申告で給与所得がある場合は?

会社を退職したあとでも再就職して働く人も多いですし、
元気なうちは簡単なアルバイトをしたりする高齢者もたくさんいます。

年金をもらっているけど仕事の給与もあるという人も多いんじゃないでしょうか。

年金以外の収入がある場合チェックすることは、
収入金額によって確定申告が必要になる場合があるということと、
控除がどうなっているかを確認しましょう。

収入金額については
「年金額が400万以下」で「その他の所得が20万以下」なら「確定申告不要制度」の適応になりますが
どちらかがそれ以上になっていた場合は確定申告が必要です。

給与所得がある方は20万以上になっていることが多いでしょから、
確定申告をする必要がある方がほとんどでしょう。

源泉徴収票をよく確認してくださいね。

そしてもうひとつ、
勘違いしやすいのが「控除」かもしれません。

年金と給与と両方で源泉徴収されていることがあるんです。
つまり2重に控除されているわけです。

控除はその人の所得の合計金額から控除されるのが正しいんです。
控除を2回されているということは所得税の未納分があるわけですよね。

この場合は確定申告で計算し直して
正しい税金額をだして未納分を収める必要があります。

この間違いは年金に対して「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出している場合におこりやすいです。

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を出すと基礎控除、年金基礎控除だけでなく、申告すれば配偶者控除などもできるんです。

なので職場で年末調整を普通にしてしまうと基礎控除、配偶者控除などが2重控除になってしまいます。
職場で年末調整をしている場合はよく確かめてくださいね。

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出していなくても基礎控除と年金基礎控除はされていますので、
提出している人もしていない人も年末調整をする項目に注意してくださいね。

どちらもやっていない時は所得税を多く払っているかもしれませんので確定申告が必要です。

源泉徴収票を全部用意してしっかり確認しましょう。
控除されているかどうか、所得税を引かれているかどうか記載されているはずです。

年金について

年金は大きく分けて公的年金と個人年金の二種類があります。

【公的年金】
国民年金、厚生年金、共済年金、恩給、企業年金 など

65歳未満であるか65歳以上であるか、
対象者の年令によって収入金額や控除額が変わります。

またこれらの年金は支給される時点で所得税が徴収されています。
※遺族年金、障害年金については非課税になります。

【個人年金】
生命保険年金、生命共済年金、互助年金など

ご加入の保険会社等から届く支払調書等に収入金額等が記載されています。

どちらも雑所得であるのですが、種類によって計算方法が違ってきます。
公的年金は 収入 × 税率 - 控除額 = 所得
個人年金は 収入- 必要経費 = 所得 です。

必要経費は今までに支払った保険料などのことです。

個人年金は「年金」ではあるのですが、「その他の所得」に入ってしまいます。

個人年金はちょっと計算が面倒なこともあるのですが、
保険会社などに聞いて計算してくださいね。

年金は「雑所得」という所得になりますので課税対象になります。

年金の種類が公的年金か個人年金か、受給者の年令、給与収入の有無、それ以外の収入の有無などによって色々なケースがあります。
自分で判断するのが難しい時は税務署に相談するのが一番確実です。

年金受給者が確定申告できる控除は?

会社の年末調整で控除を受けている会社員の方も、医療費控除や住宅ローン控除などは自分で確定申告して還付金が受け取れる場合もあります。

年金受給者も同じで確定申告することで控除され還付金を受け取れる場合があります。

主なものをご紹介します。

  • 医療費控除
年間の総所得が200万円を超えるか超えないかで控除額の計算方法が異なります。

・総所得が200万円以上で年間の医療費が10万を超えている場合。年間の医療費(実費)から10万円を引いた金額が控除の対象になります。

・ 年間の総所得が200万円未満の場合。年間の医療費から総所得の5%を引いた金額が控除の対象になります。

生命保険などの給付金、健康保険などの高額療養費やその他の給付金は控除の対象にはなりません。
また医療費は、生計が同一である家族の分も合算することができますので、家族の多い方などは忘れずに申告しましょう。

医療費として認められている項目は幅広く、市販されているお薬や通院のための交通費なども控除の対象になります。
ただし治療や診療に必要な費用であることが必須であり、健康維持や予防のための費用は除外されます。

医療費控除に関してはこちらの記事も参考にしてください。
確定申告の医療費控除の対象者は?いくら戻る?
確定申告医療費控除の対象は?認められるものは?
確定申告医療費控除の交通費について

  • 雑損控除
「盗難、災害などにより資産に著しく損害を受けた」
「納税者である。あるいは納税者と生計を同一にする年間所得が38万円以下の配偶者あるいは親族である」

上記に該当する方に適用される控除ですが、損害を受けた資産全てが控除の対象になるわけではありません。
日常生活を送る上で必要なもののみ認定されます。

貴金属やブランド品などの高価な物、別荘などは控除の対象になりません。

自然災害や人的災害、盗難や横領などで家屋や資産に損害を受けた場合、修繕費なども控除の対象になります。
いずれの場合も証明書類などの提出が必要になります。

  • 雑損失の繰越控除
雑損控除額が年間の所得金額から控除しきれない金額である場合、
残りの控除を翌年から最大三年間繰越すことができます。

このように控除が残ってしまうことを雑損失といいます。
雑損失の繰越控除を受けるには雑損失が発生した年に確定申告が必要になります。

他にも住宅ローン控除なども個別に申請をする必要があります。

また、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出していない場合は社会保険控除・生命保険料控除や以下の控除申請もしたほうがいいでしょう。

  • 配偶者控除
配偶者である妻あるいは夫の年間所得が38万円以下の場合配偶者控除が受けられます。
年間所得38万というのは収入に換算すると103万円になります。

たとえば配偶者の収入が103万円の場合、
103万円から65万の基礎控除と38万円の配偶者控除が差し引かれます。

配偶者の年令が70歳以上である場合、配偶者控除額は48万円になります。

  • 配偶者特別控除
配偶者の収入が103万円を超える場合は配偶者特別控除が適用されます。
収入によって控除額が異なります。

配偶者の収入が

103万から105万未満→38万控除
105万から110万未満→36万控除
110万から115万未満→31万控除
115万から120万未満→26万控除
120万から125万未満→21万控除
125万から130万未満→16万控除
130万から135万未満→11万控除
135万から140万未満→6万控除
140万から141万未満→3万控除
140万以上→控除なし

収入が103万円超えるか超えないかで判断すると考えていいでしょう。

なお、配偶者控除と配偶者特別控除は重複して受けることができません。
夫婦間でお互いに配偶者控除を受けることもできませんので、適用されるのはどちらか一人のみになります。

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を出している場合は配偶者控除できるので重複しないように気をつけてください。

社会保険控除については金融機関からの引き落としをしていれば控除されていますが、振込用紙で払っている場合は「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出していても控除されていないので確定申告が必要です。

こういった保険料は金額が大きいので忘れす申告するようにしましょう。

どの控除に関しても支出に関する書類や必要と思われる書類などは必ず保管しておきましょう。

まとめ

納税は国民の義務なので、「やり方がわからない」「忘れていた」など
たとえ故意ではなくても納税を怠ると重いペナルティをうけるかもしれません・・・

心当たりのある方はそれぞれの関係書類などは日頃から整理しておくとよいでしょう。

それから毎年この時期になると「還付金があります」という内容のメールがよく届きます。
いわゆる還付金詐欺ですね。
公的機関がこのようなメールを送ることはありません。

ほかにも、銀行職員をよそおった訪問詐欺などもあるようですから気をつけてくださいね。

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